「ブルガリアン・ダマスクローズの歴史」

アクエリアン・フレンドシップ
英国式アロマテラピースクール

嶋崎 毅

2013年10月からバラの国ブルガリアに活動拠点を移動して
ブルガリア産ダマスクローズ、ラベンダー等
オーガニック&ナチュラルプロダクトを
現地ソフィアからサポートしていきます。


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ブルガリアン・ダマスクローズ(Rosa Damascena)の起源は、マケドニア(今のギリシャ・ブルガリア・マケドニア共和国)の王、アレキサンダー大王(359-323BC)の駐屯兵によって
トラキア平原地方に持ち帰られたと言われています。

また、ブルガリアの年代記には、1210年に十字軍の軍隊がダマスクローズをブルガリアに持ち帰ったとも記されています。

ブルガリアン・ダマスクローズの原種は、学名に由来にもなっているシリアの首都、『ダマスカス』だと言われていますが、さらに深く探ると、シリア、そして“カシャーン絨毯”の産地としても
有名なイラン中部の北にある都市『カシャーン』まで辿り着くことが出来ます。

しかし、ブルガリアの土壌と気候がバラの育成に非常に適していたため、ブルガリアン・ダマスクローズは世界的に有名になりました。

トラキア平原地方でも特に、カザンラク、カルロヴォ、スタラ・ザゴラ、カロフェル、プロヴディフの一帯をバラの谷と呼んでいます。

ダマスクローズの栽培は1420年に銅の釜を意味する町『カザンラク』を中心に行われるようになります。

この地域の5月から6月にかけての降雨量、湿度、雲量がバラの育成に適していて、そのため精油分を多く含む、質の良いバラが育つことが研究の結果わかっています。

カザンラクで採油されるダマスクローズのオイルはステアロプテンの含有量が少なく、アルコール類が多いのが特徴です。

蒸留の機械は最初ペルシャやチュニジアから輸入されていましたが、ブルガリアで独自の改良をし、現在では非常に質の高いオイルを蒸留する事が出来るようになっています。

しかし、バラそのものの栽培方法は昔と一切変わることはありません。

蒸留機は銅で出来た物が良く、質の良いローズ水とオイルを得ることが出来るそうです。

1600年代に入り、蒸留の技術が発達すると、より質の高い、アルコール分を多く含むローズ水の蒸留が可能になり、それに伴い、ローズオイルの生産も可能になりました。

そして現在まで300年以上にも渡り、ブルガリアン・ダマスクローズオイルの供給が続けられています。

ダマスクローズオイルの価値に気が付いた生産者は、それまで主流だったローズ水に代わり、ローズオイルの蒸留に重点を置きます。

ダマスクローズオイルは、その当時ヨーロッパから新しい産業として出てきた、香水・化粧品業界に受け入れられ、コンスタンチノーブル、ウィーン、フランクフルト、パリの社交界を魅了しました。

貴重なブルガリアン・ダマスクローズのオイルはクンクム(Concum)と呼ばれる特別な容器に入れられ、船や馬車で慎重に運ばれました。

ダマスクローズの知名度が上がるに連れ、オイルの需要はますます大きくなり、そしてブルガリアで最初の産業として発達するまでになります。

5月から6月にかけて100平方メートルあたり約80〜100リットル降る雨と湿った空気を逃がさない厚い雲、そして日中と夜の気温差などの自然のファクターが良い方向に混ざり合った結果、最高品質のバラがカザンラク地方で栽培されるのです。

バラの谷の標高はクリスラで710メートル、ロシノで575メートル、ソポトで450メートル、カルロボで375メートル、カロフェルで375メートル、カザンラクで300メートルあります。

19世紀の終わり頃には白いバラが全体の約30%も栽培されていましたが、オイルの含有量が少ないのと、質の低さ、値段の安さ、そして手間がかかるなどの理由により、現在では栽培されていません。

バラは2000以上種と7000以上の変種がありますが、香水として使われるバラは数種しかないのです。

17世紀の終わりまで、カザンラクではローズ水の蒸留と少量のローズオイルの生産が行われていました。

その当時のローズオイルは、ステアロプテンの量が多く、質もそれほど高くありませんでしたが、ヨーロッパからの高い要求により、高値で取引されていました。

そして、ローズ水はアラブ地域に向けて輸出されていました。

しかし、ローズオイルがヨーロッパで高値で取り引きされることを知った生産者は、ローズ水からローズオイルの生産に力をそそぐようになります。

そして試行錯誤の結果、最高級のローズオイルの蒸留に成功するのでした。

マッシュルームの様な形をした頭を持つ蒸留釜はオイルを遊離させるのに役立ち、この冷却作用のおかげで質の良いオイルが採油出来るようになります。

この蒸留釜は近代の蒸留釜に代わるまで、200年以上も使われました。

ローズオイル1キロ採油するのに3.5トンの花が必要です。

1グラムのオイルには約3000個の花が使われています。

ローズオイルの質はそのオイルが何度で凝固するかがひとつの目安となります。

凝固する温度が低いほどステアロプテンの量が少なく、アルコール類の量が多い為、質が良いとされているのです。


このページは英国式アロマテラピスクール・テキストより抜粋しました。

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